重心を整える

第57回研修会資料より

なぜ重心の位置が大切なのか

まず「正しい姿勢」と「悪い姿勢」の違いとはなんでしょうか。
正しい姿勢を意識していると疲れてしまうと言う方がいますが、本来の正しい姿勢とは最も少ない力で約5キロもある頭をはじめ、体重を支えることができる、体に負担のかかりにくいポジションを指します。
つまり各関節にかかる重力がほぼ一直前上に垂直に並んでいる状態、かつ足の裏全体に均等に体重が乗っている状態が理想的な「正しい姿勢」ということになります。

一般的に「悪い姿勢」が体に与える影響というと、肩こりや腰痛など運動器系の不調があげられると思います。
そのほかにも、たとえばある高さの脊椎に負担がかかっている場合は、そこから神経が伸びている呼吸器系や消化器系の機能低下、さらに心肺機能への負担から精神的な不安症状に陥るケースなど、内臓的、精神的な不調にもつながることもあります。

鍼灸治療では主に皮膚や筋緊張、圧痛点を見つけて主訴の改善を目指しますが、 その治療効果を持続させ再発を防止するひとつの手段として、一定の部位に負担がかかり過ぎないよう、重心を整えることが有効ではないかと考えます。

正しい姿勢
基本は4タイプ+1

日本人は欧米人のように胸を張った姿勢で歩く人が少なく、外果よりも頭や肩が前に出ている方の比率が高い傾向にあります。
欧米人はイスとテーブルによる生活、昔の日本人は床に直接座って生活していたことが遺伝的に骨格のバランスに影響しているのかもしれません。

1.前方重心タイプ

外果よりも、大転子・肩峰・外耳孔が全て前に出ている。
前にズレた重心を支えるために、特に下肢前側を緊張させ、上半身で後ろに引っ張ることでバランスを取っているタイプ。
ストレートネックの方にも多い。(せっかちな人に多い体型)

▲頭の重さが首肩にかかりやすい。
▲腰背部に負担がかかりやすい。
▲下肢前側がカチカチ。仰臥位で足指が反っているなど、スネからつま先の緊張が見てわかる場合も。
↓↓↓
○下肢前側の緊張をほぐす。特に足首の柔軟性を。
○上半身でなく股関節ごと後ろに体を引くよう意識してもらう。

2.後方重心タイプ

背中が丸く、お腹を前に突き出すような立ち姿。
そのため膝関節が伸びにくく、腰椎下部に負担がかかりやすい。
また、前胸部の緊張が強く、背部は筋力が弱り疲労。(楽天的でマイペースなタイプの方に多い体型)

▲腰椎下部に負担がかかりやすい。
▲前胸部の緊張が強すぎて、裏側の背部痛が起こりやすい。
↓↓↓
○前胸部の緊張をゆるめて、背部は筋トレをおすすめ。肩甲骨を寄せる運動で肩甲骨を正しい位置に。
○しっかり股関節と膝を伸ばすよう意識してもらうと、自然に腹圧が高まり正しい姿勢を保持しやすくなります。

3.外重心タイプ

骨盤が開き気味、股関節は外旋強めの外股歩き。
左右に体を揺らしながら歩く。
内臓が下垂して働きが低下し、腹部の血行不良や脂肪を蓄積しやすくなる。(オープンで率直な性格の方に多い体型)

▲お腹が冷えやすい。
▲体側面(胆経)が緊張しやすいため側頭部頭痛を起こしやすい。
▲下半身の血流が悪いため、下半身に脂肪が蓄積しやすい。
↓↓↓
○体側面の筋緊張をよくほぐす。
○膝に物を挟んだお尻歩きで骨盤を閉めるトレーニングを。

4.内側締め付けタイプ

無意識に骨盤を締め付け、電車や待合室でも膝をぴったりつけて座っていられる。
意識的に体の力を抜くことができず疲労感が抜けない。
上半身に比べて脚が細い。(まじめな性格の方に多い体型)

▲仙腸関節痛、腰痛、肩こりなどさまざま。脊柱のカーブが浅い。
▲関節の動きが硬いためクッションが働かない。
↓↓↓
○いちばん難しいタイプです。お腹をあたためる?
○頭部+仙骨攻めで副交感神経優位に持っていく?
○精神的にリラックスしてもらう方法をおすすめ?

+1 ねじれ(側弯症を除く)

上記4タイプに併発して起こり、脊柱棘突起の向きが、S字>逆S字を描く。
大抵は大椎・胸腰移行部を支点としたゆるやかなカーブ。
(脚を組む、斜めがけバッグを常用、ストレスフルな方に良く見られます)

▲負担部位首が左右交互(左首、右肩、左腰、右臀部など)。左右の筋バランスが崩れているため、じっとしていても疲れやすい。
▲いつも同側の不調を訴える。
↓↓↓
○頚部と腰下肢(回旋運動)の左右の緊張をゆるめる。
○股関節の前後の柔軟性を整えるストレッチを推奨。

チェックポイント

【立位】スリッパを脱いで
体側面の垂直ライン/背部から頭の向き・傾き/肩の高さ/脊柱ライン/つま先・膝の向き

【伏臥位】腕はベッド下に下ろして
脊柱ライン/肩甲骨下角の高さ/上後腸骨棘/坐骨結節/かかとの高さ

【仰臥位】枕はなし
肩の高さ/上前腸骨棘の高さ/膝の伸び・向き/つま先の向き

【座位】
伏臥位や立位との比較。座位でのみバランスが崩れる場合は、肩尻重心になっている。

自分でできる練習法

毎日3~5分程度行いましょう。

壁立ち姿勢練習

姿勢保持のための筋肉が簡単に鍛えられます。
①外果と大転子のズレを参考に、壁から少し離れて立ち、足を45度に開き両かかとをつける。
②あごを引いて、腰、肩、頭を壁に押し当てる。
 肩が浮きやすい場合は手のひらを体の前に向けて。
 腰が反らないようにしっかり押し付ける。
③膝をつけてしっかり伸ばす。

お尻歩き(外重心タイプ、ねじれタイプ)

骨盤の開きとねじれの調整に。
太ももにボールや枕などを挟んで、前後に移動するだけ。
背筋を伸ばし、目安は前後に20歩×3往復。
腕振りの反動を使いすぎないように気をつけて。

股関節ストレッチ(前・後重心タイプ、ねじれタイプ、内側締め付けタイプ)

股関節周囲がほぐれて前後のバランスが整うと仙骨が正しい角度に保たれやすくなります。
ねじれにも有効。


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