緑内障とは
緑内障とは
定義
「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより、視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」
日本緑内障学会のガイドライン(第二版)
40歳以上の日本人の有病率は5パーセントで、年齢と共に増加傾向にあります。
一般的に自覚症状がほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが多いため、症状が進行してしまってから病院を受診するケースが多くみられます。
原因
前房内の房水が隅角からうまく排出されず、眼球内の圧力が高くなることが原因とされています。
→ほとんどの場合、なぜ眼球内の圧力が高くなったのか正確な原因がわからないケースが多い。
(日本人の平均眼圧は14.5mmHg、正常の眼圧は10~20mmHg)
分類
◇原発開放隅角緑内障
線維柱帯(とその奥にあるシュレム管)が目詰まりを起こし、うまく房水が流出されないために眼圧が上昇して発症します。
(隅角が見かけ上開放されているのに、視神経が障害される緑内障)
※正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲内で起こる緑内障で、日本人の緑内障患者の過半数を占めています。
→考えられる原因:視神経の血液循環不良、遺伝や免疫、酸化ストレス、加齢や近視など。
◇原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり(狭隅角)、最終的には閉塞してしまい発症します。
※急性緑内障発作
急速に隅角が閉じてしまうことで、劇的で著しい眼圧上昇をきたします。
眼痛、頭痛、吐き気などの激しい自覚症状を伴います。
◇続発緑内障
眼や全身に何らかの病気があり、それが原因で眼圧が上昇して発症します。
開放隅角の場合もあれば、閉塞隅角の場合もあります。
◇発達緑内障
生まれつき隅角に異常があるタイプの緑内障です。
※牛眼:生まれた直後から眼圧が高く、眼球そのものが大きくなることをいいます。
症状
◇見えない場所(暗点)が出現
◇見える場所(視野)が狭くなる
緑内障のための検査や治療は様々なものがあります。詳しくは主治医の先生にお尋ねください。
緑内障は眼圧を下げることができれば、進行を防止したり、遅らせたりすることができる可能性があります。
正常眼圧緑内障でも、更に眼圧を下げることで進行を遅らせることができる可能性があります。
ただし、障害されてしまった視神経が回復することはないと言われています。
どんなに手を尽くしても、進行を止められない緑内障もあります。
早期に緑内障を発見し、視神経の障害が軽いうちに手を打つことができれば失明に至る危険性が低くなることもあると考えられます。
眼球の構造
眼は、とても繊細で複雑な構造をしています。
「眼球の構造」および、緑内障に関与する「眼房水の流れ」について見てみましょう。
眼球の構造
眼球は球状(直径25ミリ)で眼窩の前部におさまり、前面は眼瞼によって保護され、後端は視神経によって脳とつながっています。
被膜
◎外膜(繊維膜):眼球の形を保ち保護する
・前1/6 角膜(透明)
・後5/6 強膜(白色不透明)
◎中膜(ぶどう膜)
・虹彩
水晶体の前面。中央に瞳孔が開く。
眼球に入る光量の調整。明暗の調整。
色素・血管・神経に富む。
瞳孔括約筋(放射状)・瞳孔散大筋(輪状)
・毛様体
眼房水の産生・分泌。
毛様体筋→水晶体のふくらみを調整(遠近の調整)。
毛様体小帯→水晶体を懸架。
・脈絡膜
網膜に血液や酸素を供給。
栄養膜→血管に富む。
暗膜→メラニン色素が多い。
◎内膜(網膜):神経組織の層
・網膜盲部
・網膜視部
錐状体視細胞→色彩視(中心窩に存在)。
杆状体視細胞→明暗視。
黄斑・中心窩→視力の最も良い所。注視時に焦点が合う所。
視神経乳頭→盲点。
屈折系
◎眼房水
水晶体の前方の空間(前眼房・後眼房)を満たすリンパ液。
毛様体上皮で分泌され、眼の栄養となる。
◎水晶体
直径約1センチ。両面が凸レンズ。
※年齢と共に水分が減少して弾性を失い調整力が低下→老眼
水晶体が白く混濁する病変→白内障
◎硝子体
水晶体の後方の空間を満たす無色透明ゼリー状の液体。
眼房水の流れ
毛様体から分泌→後眼房→水晶体と虹彩の隙間→前眼房→隅角→強膜静脈洞(シュレム管)→静脈へ
※眼房水の分泌と吸収のバランスにより眼球内の圧力(眼圧)が正常に保たれるが、吸収障害が起こると眼圧が上昇し、網膜や視神経が侵されて緑内障となります。
このページは、千里堂治療院第42回研修会資料をもとに構成しました。
-参考-
日本眼科学会HP/日本緑内障学会HP/QLife SQUARE HP/(社)東洋療法学校協会編『解剖学』医歯薬出版株式会社/(社)東洋療法学校協会編『経絡経穴概論』医歯薬出版株式会社/『インサイドヒューマンボディー』ディアゴスティーニ/『新版 ポイントマスター』医道の日本社
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