股関節や骨盤について

股関節の解剖

骨盤の寛骨臼(臼蓋)に大腿骨の大腿骨頭がはまり込み構成される多軸関節(臼状関節)。
正常な股関節では、骨頭のおよそ4/5が寛骨臼・臼蓋に包み込まれています。
そのため、安定性がよく、周辺の筋を使って前後、左右に動かしたり回したりと、自在に動かすことができます。
歩行時には体重のおよそ3倍の力が加わります。

股関節を取り巻く筋肉

●股関節の屈曲に働く筋
腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)、縫工筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋

●股関節の伸展に働く筋
大殿筋、ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋 半膜様筋)

●股関節の外転に働く筋
中殿筋

●股関節の内転に働く筋
内転筋群(長内転筋、短内転筋、大内転筋、恥骨筋、薄筋)

●股関節の外旋に働く筋
外旋六筋(梨状筋、上・下双子筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、大腿方形筋)

●股関節の内旋に働く筋
小殿筋

股関節の正常可動域
屈曲120度、伸展20度、外転45度、内転20度、外旋45度、内旋45度

股関節の痛みの原因

大きく3つに分けられます。

姿勢の悪さによる筋肉のバランスの悪さ、それによる負担(筋疲労)からくるもの

異常姿勢をとっていると、働くべき筋がしっかりと働けないため、代償している筋や周囲の筋に負担がかかり、持続的な緊張・こわばりが生じ、血流障害により痛みが生じます。

股関節や関連する部位の外傷によるもの

股関節そのものを損傷するよりも、関連する部位の外傷からくるものが多いです。外傷後に一時的に損傷部位をかばうような動きをするため、股関節に負担がかかり痛みが発生します。

病気からくるもの

代表的なものは変形性股関節症(※)や関節リウマチなどです。

※変形性股関節症とは
関節を滑らかに動かすために骨の表面を覆っている関節軟骨が摩耗し、骨の変形・破壊や関節滑膜の炎症が起き、疼痛や運動障害をきたす股関節疾患で、女性に多く、先天性股関節脱臼の後遺症、臼蓋形成不全(*)、外傷が主な原因です。
加齢や肥満、スポーツでの繰り返す過度な負担に起因するものもあります。

<症状>
初めは運動後や長時間の歩行後に、股関節に限らず臀部や大腿、膝の上などに鈍痛が出ることが多いです。
症状が少し進むと、立ち上がりや歩き始めに股関節周りに痛みを感じるようになり(始動時痛)、さらに進行すると持続痛や夜間痛も生じるようになります。
末期では顕著な関節変形がみられ、痛みもかなり激しくなります。
痛みのため関節を動かさずにいると、周囲の筋が硬くなり関節拘縮が起こり、可動域制限が生じます。
女性に多いのは、女性は男性に比べ関節が緩く周囲の筋力も弱いこと、また女性は骨盤が横に広いので身体の中心線から股関節が遠くなるとより大きな力がかかること、などが関わっていると考えられます。

*臼蓋形成不全とは
大腿骨を支える臼蓋の形状が不完全なため、股関節痛を起こす疾患で、大腿骨と臼蓋がうまく噛み合わず摩擦が生じ、軟骨に負担を掛けることで関節を消耗し、これにより股関節に炎症が起き、鈍痛~激痛を伴います。

股関節痛を抱える患者の特徴的な姿勢

股関節の痛みや障害を抱える患者の特徴的な姿勢のタイプは、大きくふたつに分けることができます。

骨盤前傾タイプ

腰を反らせ、お尻を出っ張らせたような姿勢です。骨盤が大きく前傾しているため、腰椎前弯が強いです。特に活動的な若年者に多いです。
もともと股関節に疾患(臼蓋形成不全など)があり、それを補うための代償動作であることも多いです。
臼蓋形成不全で股関節の前方の被りが浅いと機能的に安定しないため、骨盤を前傾させ臼蓋を大腿骨頭に被せるようにします。

骨盤後傾タイプ

高齢者にみられるような加齢変化により腰椎が後弯し、骨盤が後傾します。
また、若い女性でもヒールの高い靴を履くことにより、ハムストリングスが硬くなり、坐骨に付くハムストリングスが短縮することにより骨盤が引っ張られ、後ろに倒れて後傾します。
骨盤が後傾し、腰椎も後弯します。
骨盤が後傾位になると股関節は相対的に伸展位になり、股関節前方の被りが浅くなり股関節前面への負担が増強します。

骨盤の傾きと筋肉の関係

骨盤前傾:腰椎の前弯増強
筋緊張・短縮のみられる筋

腸腰筋・大腿直筋・脊柱起立筋・大腿筋膜張筋・大腿内転筋群・小殿筋

筋力低下の可能性がある筋

腹直筋、大殿筋、ハムストリングス、深層外旋六筋

骨盤後傾:腰椎の前弯減少・消失
筋緊張・短縮のみられる筋

大殿筋・ハムストリングス・腹直筋・深層外旋六筋・外腹斜筋

筋力低下の可能性がある筋

脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、大腿内転筋群、小殿筋

骨盤の傾きを調べる

仰臥位で腰と床の隙間はどのくらいか
正常(やや前傾。30度)

手のひらが1枚入るくらいの隙間

骨盤前傾

腰と床の隙間がスカスカ

骨盤後傾

腰が床にべったりとついてしまう

伏臥位で脚の付け根が浮くか
正常(やや前傾。30度)

付け根が浮かない

骨盤前傾

付け根が浮く

骨盤後傾

付け根が浮かない

>骨盤部・股関節・臀部の症状のための鍼灸治療

>股関節への負担を減らす工夫

このページは、千里堂治療院第64回研修会資料をもとに構成しました。
-参考-
土肥信之著、東洋療法学校協会編『リハビリテーション医学』医歯薬出版/國津秀治著『よくわかる股関節・骨盤の動きとしくみ「動き」と「痛み」のメカニズムを図解で学ぶ!身体機能の核心』秀和システム/土屋真人著『スポーツ・健康づくりの指導に役立つ姿勢と動きの「なぜ」がわかる本』秀和システム/石部基実著『老けない体は股関節で決まる!』すばる舎/伊藤和憲著『はじめてのトリガーポイント鍼治療』医道の日本社/栗山節郎監訳、川島敏生訳『ブラッド・ウォーカー ストレッチングと筋の解剖』南江堂/谷本道哉、石井直方著『ストレッチ・メソッド』高橋書店/日本整形外科学会HP/人工関節のひろばHP/からだのしくみHP/知っておこう!変形性股関節症HP/股関節セラピーHP

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