睡眠と不眠症について

睡眠について

睡眠は、人生の約3分の1を占めます。
睡眠は脳が休息するための大切な時間です。
身体の疲れは横になって休むだけでもある程度回復できますが、脳は起きている間中、働きっぱなしで、眠ることでしか休息できません。
心と身体の健康を保つために、眠る必要があります。

睡眠の役割

  • 体の疲れを取る。
  • 脳を休める。
  • さまざまなホルモンが分泌され、新陳代謝を促して、日中の活動で疲れた身体を効率よく修復する。
  • 免疫力を高める。
    ・睡眠不足:交感神経が過度に緊張
     →カゼをひきやすくなる。白血球のうちの顆粒球が増えるため。
    ・充分な睡眠:副交感神経が優位
     →カゼもひきにくくなる。白血球のうちのリンパ球が増えるため。

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睡眠に関連する代表的なホルモン

睡眠に関係するホルモンは、メラトニン、セロトニン、成長ホルモンが代表的です。

メラトニン

睡眠と覚醒 (昼と夜) のサイクルをコントロールするホルモンです。暗くなると出てくるため、「天然の睡眠薬」ともいわれています。
体の抗酸化作用(老化防止や免疫力増強作用)があります。
メラトニンの量は光の量とも関係しています。

セロトニン

睡眠している時にはほとんど出ず、朝、光の刺激によって分泌を始めます。
脳にある神経伝達物質で「癒しホルモン」ともいわれ、心を安定させます。
イライラや切れる、精神的な不安定などに対し効果があり、不足すると、うつ病、切れやすい、依存症などに繋がる場合があります。

成長ホルモン

睡眠後すぐに出ます。
骨を伸ばす、筋肉を増やす、痛んだ組織の修復をし、脳を休ませて心身の疲れを回復させるはたらきがあります。(肌の新陳代謝にも良い効果があります。)

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睡眠のリズム

ノンレム睡眠:心身共に深く眠っている。
レム睡眠:身体は眠っているが脳は覚醒に近い状態。(夢をみる睡眠)

ノンレム睡眠とレム睡眠

ノンレム睡眠とレム睡眠をワンセット約1時間半で、ひと晩に数回繰り返します。
最初の2単位(つまり寝入りばなの約3時間)の間に、大変質の良い大切な眠り(深いノンレム睡眠、いわゆる熟睡)がまとめて出現します。

※REM(Rapid Eye Movement):急速眼球運動のことです。
 閉じたまぶたの下で眼球が急速にキョロキョロ動くことを指しています。

ノンレム睡眠のステージ分類
  • Stage1:布団に入ってから眠りにつく段階の浅睡眠。
    とても目が覚めやすい状態で、眼球運動をしています。脳波はα(アルファ)波は消えてθ(シータ)波が表れます。
  • Stage2:浅睡眠。
    眼球運動はなくなるが、目が覚めやすい状態です。
  • Stage3:簡単には目が覚めない深睡眠。
    脳波ではδ(デルタ)波が表れます。
  • Stage4:目が覚めにくい深睡眠。
    δ(デルタ)波が多く、徐波睡眠と呼ばれます。

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眠りのタイプ

睡眠時間や睡眠の回数などで様々なタイプに分類されます。

単相性睡眠

1日のうち夜だけ睡眠を取ることをいいます。
小学生~成人に多く見られます。

多相性睡眠

1日のうち昼と夜に複数回睡眠を取ることをいいます。
乳幼児や年配者に多く見られます。

朝型

早寝早起きで、夕方には体温がピークに達します。
夜中にかけて体温が下がります。

夜型

朝は起きられず、昼や夜に目が覚めます。
夜遅くに体温が上がり、昼は体温が下がっています。

安眠型

寝つきが良く、夜中に目が覚めることがありません。
朝型の人に多く、深い眠りを得られるので、短時間の睡眠でも大丈夫です。

不眠型

寝つきが悪く眠りが浅いので、すぐに目が覚めます。
夜型の人に多く、睡眠時間を沢山必要とします。

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睡眠の差異

年齢差

睡眠の質と量は年齢に大きく依存します。

胎児期・新生児期

未分化で睡眠総量が多く、昼夜にわたって小刻みに繰り返します。

幼児期

昼夜リズムと同調し、昼寝が少なくなって夜に連続した長い眠りが出現します。
ノンレム睡眠が先行し、レム睡眠が後続する睡眠単位が確立し、深いノンレム睡眠が多いことなどが特徴です。

思春期~成人期

社会的・文化的に管理されるようになります。
睡眠総量は減少する傾向を示しますが、個人差も大きくなり、一般に深いノンレム睡眠が多いパターンが継続します。

中高齢期

加齢とともに進行する質の劣化が特徴です。
睡眠時刻のずれ、深いノンレム睡眠の減少、中途覚醒の増加による分断化、昼寝や居眠りが出現します。

男女差

女性には思春期から更年期までを特色づける月経周期や、妊娠と哺乳の期間があり、ホルモン分泌の動的変化を伴います。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンは、それぞれ眠気に抑制と促進の効果を及ぼします。
哺乳期間中は、ホルモンのみならず、乳児の小刻みな睡眠-覚醒リズムの影響で、母親の眠りは分断されます。
更年期以後は、不眠が増える傾向は男性よりも著しくなりますが、年齢を通して平均すると、一般に睡眠の質的内容は男性の方がはるかに劣ります。

「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれる疾患は不眠や過眠の原因となりますが、これは圧倒的に中高年男性に多く見られます。(睡眠時の呼吸機能が男性は弱いため)
「新生児突然死症候群」も睡眠中の呼吸障害と考えられ、これも男児に多く見られます。

個人差

「毎夜6時間未満寝る短眠者」「9時間以上寝る長眠者」は、遺伝的な素因にもとづく傾向がありますが、必ずしも固定されたものではなく、同一人物内で変動することもあります。
短眠と長眠との決定的な差は、睡眠の質の違いです。
短眠者は睡眠効率がよく、しかも深いノンレム睡眠の割合が多いのに対し、長眠者は浅いノンレム睡眠、レム睡眠、中途覚醒の割合が多くなります。

入眠時刻あるいは起床時刻に関しては、早寝早起きの朝型(ヒバリ型)と朝寝坊の夜型(フクロウ型)という個人差があります。

季節差

多様な気象条件が人間の睡眠パターンに影響を及ぼしています。
『春眠暁を覚えず』『寝苦しい熱帯夜』『燈下親しむ候』といった常套句があるように、 季節が睡眠ないし意識水準に大きく関わっていることがよく言い表わされています。

日本人の睡眠は盛夏の7~8月に有意に短く、晩秋から初冬の11~12月に有意に長くなります。
この傾向が増幅された「季節性感情障害」という疾患が昼夜の時間差の大きな高緯度地帯で知られており、とりわけ、冬季に鬱病のような症候群が現れます。

文化差

日中ずっと勤勉に起きていて、眠りを夜間に連続してとるのが当たり前だと思っていますが、この眠りのパターンは、一部の文明社会で働いたり学んだりしている限られた人たちだけが実行しているもので、かなり特殊です。
しかもこの眠りのパターンは、自然な生理的欲求を抑圧して、文化ないし社会の規律を強制する人為的なものでもあります。
幼児期の習慣であった昼寝は、学齢期になると許されなくなります。
社会で働く人々についても同様で、自宅での昼寝はともかく、学校や職場での昼寝や居眠りは悪徳だとする考えが日本では普遍的です。

異常

「睡眠障害」とは、ヒトの睡眠と覚醒に関連する多様な疾患のすべてを指す用語です。
睡眠障害のなかには、高次の精神活動に関わる異常から、身体上の末梢的な疾患に起因する二次的な異常まで、さまざまな疾患が多数含まれます。
睡眠障害の分類には、1990年に新たに「睡眠障害国際分類」が公表され、新しい分類法によれば、睡眠障害は「4群88種類」に分けられます。

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睡眠の妨げになるもの

カフェイン

覚醒作用があります。

アルコール

精神の緊張をほぐす作用があり、寝つきはよくなります。
しかし、アルコールは体内で2~3時間で分解されるため、睡眠の途中で目が覚めやすく、眠りが浅くなります。
また習慣化するうちに量が増え、かえって不眠を慢性化させる原因にもなります。

たばこ

ニコチンに覚醒作用があります。

食事

胃腸の働きが活発になり目が冴えるので、夕食は就寝3~4時間前にとるのが理想的です。遅い夕食になるときは、肉類は控え、腹七分目程度にしておきましょう。
また、寝る前の水分のとり過ぎも夜中にトイレに起きることになって、熟睡を妨げられます。

牛乳のカルシウムには、脳神経の興奮をおさえ、イライラを解消する働きがあります。 また、牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸はメラトニンになり、脳に働いて眠りを誘い出すので、お腹がすいて眠れないときや何か飲みたいときは、牛乳をのむのも良いでしょう。

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睡眠障害

睡眠障害には「寝つけない」、「眠りが続かない」、「起きていられない」などの状態や、「夜驚症」や「夢遊症」など睡眠中の異常行動が含まれます。

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不眠症について

長期間にわたり夜間の不眠が続き、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する病態をいいます。
睡眠問題により、日中に倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が出現します。

不眠の原因はストレス、心や体の病気、薬の副作用などさまざまで、原因に応じた対処が必要です。
不眠が続くと不眠恐怖が生じ、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、なおさら不眠が悪化するという悪循環に陥ります。

日本では5人に1人(20%)が不眠症で悩んでいます。
また全体の5%の人が睡眠薬を使用しています。 (日本の不眠症人口2400万人。睡眠薬を使用している人が600万人)

不眠症の4タイプ

  1. 入眠障害:寝つきが悪い。
  2. 中途覚醒:眠りが浅く途中で何度も目が覚める。
  3. 早朝覚醒:早朝に目が覚めてしまう。
  4. 熟眠障害:ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない。

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不眠症の原因

ストレス、体の病気、心の病気、薬や刺激物、生活リズムの乱れ、環境などが挙げられます。

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自宅でできる良い眠りのための工夫

  • スムーズに眠りにつくためには、眠る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切。
    →就寝の数時間前から電球色の照明器具に切りかえる。
  • 37~39度位のぬるめのお湯に、時間をかけてゆっくりつかる。
    →就寝の直前ではなく、数時間前には入浴を済ませ、体温を上げておく。
  • 適度な運動や、ストレッチ。
    →軽い疲れを伴わせることでリラックス効果を高める。
     (激しい運動は交感神経を高めるので不可)
  • 牛乳やチーズなどの乳製品、レバー、かつお、まぐろ、ナッツ類、ゴマなどを摂る。
    →セロトニンを作り出すための「トリプトファン」を多く含んだものを意識的に摂る。

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診断や検査については専門医の受診をお勧めします。
症状は似ていても違う病気であることもあります。
医師の治療や検査と併行して鍼灸治療を受けていただくことで、症状の軽減や、より一層の治療効果が得られることもあります。
鍼灸治療を試されるときは、どうぞお声がけください。

>不眠症のための鍼灸治療

>睡眠時無呼吸症候群とは

このページは、千里堂治療院第62回研修会資料をもとに構成しました。
-参考-
東洋療法学校協会編『東洋医学概論』医道の日本社/東洋療法学校協会編『東洋医学臨床論』医道の日本社/日本睡眠学会HP/睡眠と健康についてHP/NEVERまとめHP/体に優しい睡眠法HP/厚生労働省eヘルスネットHP/ツボ探検隊HP/つぼ健康療法研究所HP/不眠症対策サプリHP/メルクマニュアルHP

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